Beauty & Chestnut

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植林と資本主義のシステム (環境シンポ@慶応2)

最近、カーボンオフセットという言葉を新聞などで見かけるようになった。一言で言えば、排出した二酸化炭素が自国で対処しきれないほどいっぱいいっぱいなので、よその国にお金を払って引き取ってもらう、というシステムだ。ちょっと乱暴に言ってしまったが、そのお金でよその国の植林活動や森林保護、環境改善事業などに投資し、できるだけ排出してしまった分を減らそうとする気持ちの現れでもある。旅行業者でもエコツアーなるものを企画し、旅行中に利用した飛行機や新幹線で排出された二酸化炭素カーボンオフセットで相殺するために、排出量にあわせて自動的に課金されるらしい。お金を払っている、という事実は、私たちに嫌でも環境について考えさせる。実に資本主義にマッチしたシステムだ。


環境シンポで講演していた教授は、実際に中国で植林活動をしているようで、その写真を何枚かパワーポイントで表示していた。ポプラの木が、ただ一種類だけ、延々と規則的にならんでいる。協力したのは同行した学生と地元の人たち。彼らには、特に何の支給もないらしい。


なぜ、ポプラなのか。桜でも金木犀でもいいじゃないか。
これには理由があるようで、法律上、伐採して良い木としてはいけない木があり、ポプラは伐採しても良い上に、経済価値があるそうだ。切ることを前提とした植林活動。カーボンオフセット魂はどうした?


植林活動自体を、私は否定したいのではない。中には本気で環境問題に向き合って、二酸化炭素を減らす目的で植林を行っている団体もある。それに、すべての植林活動団体がポプラばっかり植えているわけでもない。更に、上記のポプラ植林も、事実二酸化炭素がポプラに吸収されて少しばかり効果があったわけなので、一概に否定できない。もしかしたらこの団体は、本当は混植したかったのかもしれないが、何かの圧力がかかったのかも知れない。真意は第三者なんかには絶対わからないのだ。


結局のところ、私は植林活動を取り巻く社会のシステムに嫌気がさすのだ。「私の国の空いてる土地では植林よりも何か施設を作ったほうが儲かるから、お金あげるからとりあえず木でも植えといて。排出しすぎた二酸化炭素の問題もあるし。これで体裁が整うしね・・・。あ、でも、君の国はあんまり発展しないでよ。木を植える面積減っちゃうし。できるだけ途上国でいて。」とでも言いたいのだろうか。


且つ、植林された土地では、水不足の問題が起きている。
木が育つのには水が必要だが、近くの水脈から引き上げているせいか、現地の人たちが使用している井戸の水位が低くなり、その結果として起こるようだ。途上国の人は、水が足りないからと言って、車でコンビニに行って水を調達する術などない。ツケはいつも立場の弱いところに来る。


だからと言って、明日から質素な生活は、出来そうにも無い。文明を享受しながら地球環境に負荷をかけない生活を維持するために人口がそのものが減ってしまえばいいのではないか、なんて安易な発想に逃げたくなる。あぁ、やっぱり世界のシステムそのものが再構築されなくてはいけないと思う今日この頃。そして、今回もうまくまとまらず。文章の書き方を勉強しようっと。