Beauty & Chestnut

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募金と資本主義

ユニセフのマンスリーサポートプログラムに加入していると、3ヶ月に1度ユニセフニュースという季刊誌が届く。ユニセフの活動報告や、世界で起きている問題、募金がどのように使われたか、等が記載されていて、私はいつも興味深く拝読している。もちろん、日本国内にも解決しなければいけない問題が山積みなのは知っている。それなのになぜ海外に募金するのかと言えば、緊急度が高いから、の一言に尽きる。とりわけ、貧困問題が子供に及ぼす影響は多大なものである。性的搾取、子供兵士、感染症、飢餓。ただその国に生まれたという理由だけで、「生きる」というごくあたりまえの権利さえ、行使することが出来ない。「貧困」という存在は罪である。

募金といえば、用途が不透明だから、という理由で敬遠する人がいる。本来の目的とは違った用途で使われることがあるかも知れない。確かにそれは否定できない。ただ、重要なのは「確実に正しい用途のみに使われること」ではなく、「継続して支援すること」だと私は思う。そもそも、募金する時点で「もしかしたら別のことに使われるかもしれない」事を覚悟している。監査人の数が組織の規模の割には圧倒的に少ないが、仮に手元に100万円あったとしても、個人で出来ることは限られているので、組織に預けたほうがはるかに有効的に使われる。募金するお金には「ユニセフの援助ノウハウ」が含まれていると思えば、元々の金額以上の価値があると言えないだろうか?

支援は継続することが大事だと思う、ということは先に述べた通りで、最近のチャリティビジネスに、私は大いに可能性を見出している。本の印税の20%を寄付するチャボ。クレジットカードで買い物した数%分の金額を自動的に募金するショッピング募金。クリックするだけで企業が募金してくれるクリック募金。方法は募金だけではない。輸出品を適正な価格で売買するフェアトレード。もちろん、これらの方法は、まだまだ改善するべき点があると思うが、支援するための方法が身近に存在するのは大変良いことである。ただ、問題はこういったシステムが、圧倒的に認知度が低いことと、支援を受ける側に「先進国の人は何をしてくれるの?」という依存を生み出す可能性があることである。

チャリティビジネスそのものの存在を知らない人はいないだろう。それでも積極的に関わろうとする人が少ないし、あまりどういったものがあるのか知られていない。そういった意味で、「認知度が低い」と表現した。原因はおそらく「募金」と「ビジネス」が結びつきにくいと世間が感じているからなのかも知れない。某ファンドの村上さんの「お金もうけをして何が悪いのですか」の一言に拒絶反応を起こした人は多いだろう。どうも「ビジネス」=「お金儲け」→「強欲」といった方式が成り立っているようである。(もっとも、村上さんに対する批判は真っ当なものであるけれども。) ただ、このようなイメージも、実際に何らかの形でチャリティビジネスに関わってみれば、変わってくるものである。

問題はどのように募金(または社会問題)へのインセンティブを高めるか、である。意外と、というか、ほとんど知られていないが、「寄付金控除」というものが存在する。お金儲けに対しては批判的な人でも、生命保険を選ぶとき、大抵は掛け捨てにならないものを選ぶ。たとえ支払った金額の方が上回っていても、「リターンがある」というのは十分に動機付けになるのだ。募金をすれば税金が若干優遇される制度があることをアピールすれば、もっと関心を集めることが出来るはずである。

次に、「依存」は精神論だけでは片付かない。システムが絡むのである。たとえば、日本の「生活保護」というシステムは実にshitなシステムで、「働くの?じゃあ打ち切りね。」という体制が不正受給者を生み出している(と私は思う)。働いても受給額を上回らないのなら、わざわざ働かない。働けるけど、働かないほうが得だ、という風になる。そして、本当に保護を必要としている人たちに届かない。この現実を、そろそろ政府は受け止めなければならない。(てか、気付け。) あくまで自立を促すのなら、累進課税システムをモデルにして、収入に応じて段階的に支給額を減らす、というように、より柔軟な対応が必要だろう。同様に、支援を受ける人たちに援助を受けるだけではなく、自ら開発に携わることでより豊かな生活が可能となることを知ってもらえば、依存体制は自ずと無くなるだろう。

■最後に
私は、資本主義は悪だとは思わない。資本主義に限らず、法律もコンピュータのプログラムも、あくまで非人格的なシステムだとしか捉えていない。それを批判しても仕方ないし、どうせならそのシステムを良い方向で活用したいと思っている。確かに資本主義は貧困や格差を生み出した。しかし、それだけでは「資本主義」全体を語ったことにはならない。資本主義はルールにすぎず、資本主義には資本主義のやり方がある。その方法を誤らないようにするために、「知識」が必要なだけである。