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引き続き、日本の経済は低迷していく・・・かもしれないし、そうじゃないかもしれない

団塊世代と呼ばれる人たちがいる。彼ら彼女らは2010年ぐらいから一斉に退職し始め、退職金や年金などで暮らしていく。この層をターゲットとした金融商品や高額旅行などを始め、さまざまな手法でモノを買わせるためのマーケティング戦略が日々練られている。景気と言うのは「これからこの国は成長していくぞ!」という雰囲気が漂うことで良くなるものだ。だから、団塊の人たちが消費経済を担うことで経済を活性化させ、この国に明るい未来があるように希望を抱きたくなるのも無理は無い。

しかし、団塊の人たちは消費経済の担い手になってくれるだろうか。私は難しいと思う。

日本人は死ぬときが一番金持ちだ、と言われているように、貯蓄する傾向がある。そして、今後も「今不況だし、これから先どうなるか分からないから貯めておこう」という状態が続く、と私は見ている。これは悠々自適な生活が送れる団塊世代も同じだろう。先行き不安な状態に追い討ちをかけるように、民主党は次の参院選に向けて年金の最低保証金額を7万円にする案を出している。このニュースを聞いて「おいおい、大丈夫かよ。」と思っているのは私だけではないはずだ。民主党の怖いところはアホな案を出すことではなく、それを意地でも実行しようとするところだ。しかし民主党は単なる「バラマキ友愛政党」なんかじゃなく、実は予想以上に賢いかもしれない。古代ローマは属州から得た莫大な富で市民に無償でパンと見世物を与え続けた。こうすることにより、国民は政治に無関心になる。今、民主党がやろうとしていることは古代ローマと同じではないだろうか。若い人はあまり選挙に行かない。先の短い既得権益層は自分達が有利になる党に投票する。なんとも先行きの暗い話ではないか。(少し前まで自民党の野党っぷりを見て冷笑していたものだが、最近は応援したくなる気持ちがちょっとある。)

貯蓄する傾向があるからと言って、実際に貯蓄が出来ているとは限らない。家計貯蓄率(貯蓄÷家計可処分所得)の推移を見てみると、1998年で一旦上昇したものの、以降下がりっぱなしである。他の主要国と比較してみると、「浪費家」のイメージが強い米国や、通貨危機のあった韓国とほぼ同じである。個人的な感情を抜きにしてアジア経済を語るとしたら、今後アジア経済を担うのは韓国、中国、シンガポールであると私は見ている。韓国は何よりもIT産業に強い。そして、金融でも伸びてくるだろう。中国は後発の利を生かして成長してくる。シンガポールは世界中から企業と優秀な頭脳が集まってくる。それぞれの国が強みを持っている。一方、順調に成長し続けるインドは貧富の差が原因となり、どこかで一旦停滞するだろう。ベトナムは中国に代わる世界の工場として機能するようになる。先進国の仲間入りには、まだ時間がかかるに違いない。技術はあるがそれを上手く利益に結び付けられない日本は、ベトナムより高度な製品の下請工場になるのではないか、と内心思っている。

話をまとめると、日本経済の現状と展望は以下の通りである。
団塊世代は消費経済の担い手にはならない
・日本人は貯蓄傾向があるが、それを切り崩さざるを得ない状況である
・韓国、中国、シンガポールなどの強力な外敵に囲まれ、今後さらに苦戦を強いられる

さて、どうしたものだかね。
少なくとも、若い人がもっと活発に政治や経済について語るようになれば、世の中は変わるのではないか、と思う。世の中が変われば、その変化に希望を抱く人が増えるだろう。選挙に行くのは自らの意志であるのが望ましいし、誰にも強制されるものであってはならないと思うので、イタリアのように「選挙に行くのを法律で定める」のはナンセンスだ。投票者の世代別割合で20代は10.2%(2005年)。投票率は半数にも満たない(同年)。単純に老人の投票率を下げ、若い人の投票率を上げようと思えば、インターネットからの投票システムに切り替えるのが望ましい。選挙期間のネットPRを完全自由化し、YouTubeやニコ動で若者に訴え、政治に興味を持たせる。政治家サイドがネットで選挙活動を行うメリットは、資金が少なくて済むという点。これで若手も立候補の敷居が下がる。どんどん立候補すればいい。こうやって代謝を活発にし、柔軟で進歩的な政策を試みる。できればその過程で学者の意見にも耳を傾けてほしい。

なんだかんだで、国民が当事者意識をもって政治に関心を抱くようにする、というベタな方法しかないわけだ。活気のある状態というのは、ある種の祭り状態である。しかし、祭り状態であっても、まんざら悪いものではないだろう。

閉塞感が打破されれば、日本はまだまだ成長できる。