Beauty & Chestnut

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モンブランと紅茶のペアリングを探る

先日、仕事帰りに某駅のケーキ売り場を歩いていたら、オブジェのようなケーキが視界に入った。ダロワイヨの「中山栗のモンブラン」である。モンブランらしくない、鳥の巣のような丸いドーム状の外観で、ちょこんとチョコレートと生クリームと金箔が乗っかった、可愛らしくも高級感の漂う一品である。


普段モンブランは食べないが、珍しいビジュアルに惹かれて購入してみた。そうだ、どうせなら一番合う紅茶も探してみよう、と思い立ち、家にある茶葉の中からダージリン ファースト・フラッシュ、キーマン、セイロン ヌワラエリヤ、アッサムの4種をチョイス。テイスティングカップが足りないので、ティーカップに注ぎ、アルミホイルを蓋代わりに。


茶葉の特徴は以下の通り。
ダージリン:土や材木を連想させるような、特有の渋い香りがする。よく花束やマスカットの香りと例えられるが、そのようなダージリンは極めて少数である。品質が香りや渋みにダイレクトに表れるため、ストレートで入れると誤魔化しがきかない。なので、ティーサロンの茶葉へのこだわり度合いを測るリトマス紙となる。繊細な茶葉なので、ブレンドされると個性を活かすのが難しい。ワインで例えるとピノノワールだろうか。収穫時期によってファースト、セカンド、サード、オータムナル、と呼ばれ、サード以降は渋みが強くなるので好みが分かれる。


■キーマン:中国で生産される燻製感あふれる世界三大銘茶の一つ。あまりにもスモーキーな香りなので、初めて飲んだ時は淹れ方を間違えたのかと思ったほど。濃厚で渋みが強く、単独で紅茶そのものを楽しむのに向いているが、ペアリングが非常に難しい。鉄観音茶が好きな人ならはまるかもしれない。今回はダークホース的な可能性に賭けてチョイスした。


■セイロン:ウバやキャンディで有名なスリランカ島のお茶の1種。標高1800mあたりで栽培されており、高品質なものが多い。ダージリンにも似ているが、こちらはもう少しマイルドな印象。程よい渋みと酸味があり、ストレートでも美味しいがミルクティーにするとコクがあるのにサッパリと飲むことが出来る。どんな洋菓子にも合わせやすい万能な品種。


■アッサム:インドで生産される紅茶の2/3を占め、全体的にバランスの取れたブレンド向きのお茶。クセが無いのでフルーツやハーブを使ったアレンジティーの土台として使い勝手が良い。こちらもセイロン同様に洋菓子に合わせやすい。ミルクティーにしても美味。



続いてケーキについて。外側の栗のクリームは非常に軽い食感で、モンブランが苦手な人でも食べられそうだが、根っからのモンブランファンには物足りないかもしれない。良く言えば上品、悪く言えば淡白である。中はスポンジ、生クリーム、スポンジ、生クリームの構成になっており、スポンジは甘さ控えめのカステラ、という印象。全体的に薄味であるが、お腹にずっしりと来る。2段目のスポンジを洋酒に付けたり、中にフルーツを入れたりして変化があると最後まで飽きずに食べられそう。



紅茶とのペアリングについて
ダージリン、キーマンは個性が強いので、今回のモンブランとは相性が良くなかった。一方でセイロンとアッサムは口の中に残ったケーキの油脂をリフレッシュしてくれた。名アシストである。