Jill Tracyを聴きながら。
秋の夜長といえば、やはり読書とハーブティーだろうか。一番リラックスできる時間を一番上質なもので過ごす。なんとなくこれで幸せな気分になれる。東京に来てからあまりちゃんと本を読んでいなかったので、今年の秋は、また、秋が終わっても思う存分読みたいと思う。
ところで高校の頃、国語の先生が各都道府県の知的水準を比較するなら、各県の住民一人当たりどれぐらい岩波文庫を読んだかを調べればいい、と言っていたのを思い出した。岩波文庫といえば、世界史の資料集とかに「当時の文学、学術書」として出てくるものが収められている岩波書店の頭脳的ラインである。この都道府県ごとの知的水準を求めることに意味や価値は見出せないが、当時はなるほどな、と素直にうなずいたものである。とは言っても、やはり世界的名著。賢くなった気で調子に乗って購入するものの、なかなか難しくて何冊かは挫折した。その頃はあまり文学とか学術書が好きでなかったので、最後まで読んだのはせいぜい孫子、老子、マキャベリーの君主論ぐらいだった。そこで(私の中での)第一次岩波文庫ブームが去る。
あらためて最近、岩波文庫の目録を見てみると、なかなか大したラインナップで、読みたい本が大量に見つかった。結構な量を買い込み、気の向くままにページをめくってみる。ショーペンハウエル、シュレーディンガー、岡倉天心にノヴァーリス。どれも相当の手ごたえがある。気楽に読み始めて、気がつけば没頭していて、暖かかったハーブティーが熱死している。エントロピーが拡散しちゃったのねぇ、なんて思いながら、ぬるくなったハーブティーを飲み干す。
さて、今夜は誰の思想・作品に触れてみようかな。