Beauty & Chestnut

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建築古書が届く

最近、帰宅時はバスを使わずに歩いている。20分ぐらいの調度良い距離である。大通りから1本裏道に入ると、マンションや民家が並んでいるのにも係わらず、車も人の姿もなく、そのまま5分ぐらい誰ともすれ違わなければ、世界はでっかい水槽のようなものに入っていて、私以外に人がいないような錯覚を起こす。海水浴などで浮き輪を使って水面にいられるのと同じように、無駄に重いバッグが私を地上に引き止める。地面が水面で、夜空が海底。水面に物が浮いているように、地上にビルが浮かんでいる。そんな逆転した世界を、ふわふわと漂いながら帰宅する。バッグを手放せば、私は空へと沈んでいくのではないだろうか、と、この不思議な感覚を楽しみながら、家路に着く。

家に帰ると、ナイスタイミングで宅配便が届いた。

世界宗教建築と、ロシア建築案内。先週末、複数の古本屋に建築書籍を注文していて、ほかは既に届いているので、今日この2冊を以ってすべて配達されたことになる。

建築史のバイブル、フレッチャア建築史。大正8年発刊。私が手にするまでに、どういう物語があったのだろうか。縁を感じる。

定価の数倍の値段で売られていた、ヴェルフリン著の建築心理学序説。「建築学」と「心理学」の邂逅。学問の専門化が叫ばれて久しいが、分かる人は既に分かっていて、こういう試みがなされていたのが、なんだか嬉しいし、どきどきする。