Beauty & Chestnut

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西の果て、祖父の出生の地へ

連休は五島列島に行こうと思い、予約をした。久しぶりの九州上陸だ。

五島は教会と自然と入り江の美しい島である。後、うどんが美味しいらしい。旅の申し込みを電話で行い、傍で聞いていた母が、五島なんかに何しにいくの、言った。何も無い所だから私のような都会っ子が行くと退屈するらしい。そういわれても、なんとなく行きたくなったから行くだけである。なぜ母が五島を知っているのか聞いてみたら、去年亡くなった母方の祖父が、五島福江の生まれだそうだ。そういえば祖父はキリシタンだったのをなんとなく覚えている。きっと、幼少期は大自然に囲まれた五島の美しい教会で祈りを捧げたのだろう。

私は母方の祖父とはほとんど会う機会がなかった。生前は和歌山のナントカ村からほとんど出てこなかった。大阪に出てきた祖母はよく「あの人、気難しいからなぁ。ようわからんわ。」と呟いていた。私にとって、なぞの人である。祖父に会った数少ない機会は覚えている限りで、親族のお葬式で、そのナントカ村に行った時と、彼が市内の病院に入院したときぐらいだろうか。両方とも、私が小学校低学年ぐらいの時の話で、もうほとんど記憶に無い。

「きっと、お父ちゃんが呼んでたんやろうなぁ・・・。」と母が感慨深そうに言った。祖父が亡くなってから気丈に振舞い続けているが、ふとした表情に悲哀を感じる。それは時折、ほんの一瞬の事ではあるが、見逃すにはいささか強すぎる失念の瞬間である。「お迎えが来たってことなんかな?」と返事をすると、保険金掛けとかなあかんな、と母。旅の前に保険金を掛ける話をするのは我が家での定番のブラックジョークである。もちろん、本心ではない(と思いたい)。あえてこういう話で盛り上がっておくことで、ある種の厄落とし的な効果を期待している。

しかし、生前あまり縁の無かった祖父であるが、こうして今、彼の縁の地を訪ねるのはただの偶然であると思うものの、運命的なものを感じずにはいられない。五島での計画は全く立てていない。観光地の情報を頭の中に入れておいて、当日行きたいところに行こうと思う。帰ってきたら、母に祖父の幼少時代の話を聞かせてもらおう。