Beauty & Chestnut

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どなべ暮らし

私は土鍋至上主義者である。お米は炊飯器では炊かない。
人類がいつから土鍋を使い始めたかは頓として見當がつかぬが、少なくとも私が使い始めたのは最近の話である。非常にすぐれた耐熱性、桁外れの保温力、イマイチ垢抜けないが使い続けることで愛着の沸いてくるフォーム。これで炊き上がるお米が美味しくないはずがない。そして何よりも、土鍋で食べ物を加熱するという行為が原始的で、童心に帰る楽しい一時である。何ゆえ私は長年炊飯器を使い続けてきたのか。湯呑みや花器などの陶磁器に興味があったのに、もっと早く土鍋の存在に気づいても良かったはずである。セラミックを侮ること勿れ。
土鍋で炊いたご飯は甘みがある、と言われているが、真実である。そして、程よい弾力性がある。土鍋ご飯と炊飯器ご飯の違いをうどんで例えると、前者が五島列島椿油を使用したコシのあるうどんであるのに対し、後者は2食150円ぐらいの冷凍うどんである。土鍋ご飯は噛めば噛むほど甘みが口の中に広がり、おかずがなくても1杯食べられる。そういうわけで、私は土鍋ご飯信望者でもある。初めて「おこげ」なるものを見たときは失敗して焦がしたのかと思って食べずに捨てたが、あの焦げた所が美味しい「らしい」と知ってから、どれぐらいの火力でどれぐらいの時間温めれば出来るものなのか、現在鋭意データ収集中である。(個人的に「おこげ」は美味しいとは思わない。) 一概に「土鍋は土で出来ている」といえども、土にもいろんな種類があるので、土鍋の種類によって若干熱伝導や保温性等に誤差があると思う。また、デザインによっては熱の伝わり方や温度の部分的な偏りが出来るかもしれない。土鍋というのは熱力学を学ぶ上での良き教材でもある。
ところで、土鍋の新たな可能性を探していたら、思っていた以上に土鍋という物は万能であることを知った。今まで我が家では鍋モノやお米を炊くぐらいしか用途が無かったが、当然「鍋」なのでカレーも作れるし、ブイヤベースも作れる。煮物を離れれば、丁度良い大きさの足付きの金網があれば温野菜などの「蒸し物」さえ作れるのだ。さらに創造力・想像力を広げてみれば、「蒸す」「煮る」過程のあるスイーツだって作れる。ここからは推論なのだが、土鍋を高温にすれば肉も焼けるのではないだろうか。金属(結晶)のような自由電子は存在しないが、土だって有機物と無機物のハーフである。油やバターなどを上手く使えば、どうにかすれば焼けるに違いない。肉に限らず、物が焼ければオーブントースターやホットプレートの代用品にもなるかも知れない。嗚呼、豈に優秀ならずや。土鍋万歳。さて、土鍋の応用を検討する傍ら、今日は「カボチャとしめじの炊き込みご飯」を作ったので、そのメモ。


【カボチャとしめじの炊き込みご飯】

<用意するもの>
・お米…必要なだけ
・しめじ…適量
・カボチャ…適量
・醤油…適量
・カット昆布…2,3枚
・ダシ用かつおぶし…ひとつまみ

下準備:ダシ用のかつおぶしはお茶のパックなどに入れておくと回収が便利。

1:お米を洗い、水を切って20分ほどザルにのせておく。ザルの形状に従い、中央部を窪ませておくと尚良い。

2:米1合につきコップ1杯の水を土鍋に入れ、沸騰直前まで温める。カット昆布でダシをとる。

3:磯の香りが漂ってきたら、昆布を出す。使用した昆布で二番だしを作成するなら、水を入れた別容器に移して2,3時間ほど置いておく。ダシ用かつおぶしをいれ、少し色が付いた頃に出す。

※昆布でダシを取るのは少し時間がかかるので、この間にカボチャやしめじを洗って切っておくのがベター。

4:かつおぶしを出し、醤油を入れる。土鍋の半径を1とすると3/5ぐらいの距離を保ちながら4π<θ<6πぐらいの軌道を描く。少し冷まし、お米とカボチャ、しめじを入れる。20分ぐらい放置して、味をしみこませる。

5:中火5分、弱火10分、余熱10分で加熱する。完成。