Beauty & Chestnut

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大都会の小さな城 ラ・ターブル・ドゥ・ジョエルロブション

恵比寿ガーデンプレイス内にある小さなお城または貴族の別荘のような外観のレストラン。1階はカジュアルなモダンフレンチ、2階はグランメゾンとなっており、目的・用途に応じて使い分けることが可能。厨房は別々にあり、シェフもコンセプトも全く違うが、いずれもミシュランガイドから高い評価を得ている。6月の中旬に1階のラ・ターブル・ドゥ・ジョエルロブションに訪問。数日前にトゥールダルジャンの記事を書いたが、実はこのレストランがミシュラン巡りの記念すべき1回目である。休日はなかなか予約が取れないので、受付開始になったら早めに電話で予約するのがベター。ちなみに館内には真っ赤なバーも併設されているので、予約時間までバーで一杯、というのもまた乙である。(今回は未訪問。) このレストランの魅力は、恵比寿という好立地、ミシュランガイドで2つ星を獲得していながらもカジュアルな価格、ヨーロッパを思わせる空間だろうか。後にも述べるが、内装は非常に洗練されていているので、ランチではなくディナータイムに訪問すればかなり快適に過ごせると見た。ランチタイムは満席のため、空間にゆとりがあまりかんじられない。

料理:★★★★
ランチコースは3850円、5250円、10000円の3種類と平日限定のワンプレートランチ2950円が用意されている。追加料金の発生する料理を食べるため、一番皿数の少ない3850円のコースを選択。食前酒のシャンパンとミネラルウォーターも忘れずにオーダー。水は必ず余ってしまうが、食前酒だけではデザートまでに喉が渇いてしまうため、ほどほどのタイミングでオーダーするのが良い。早すぎるとグラスの結露と、ぬるくなったミネラルウォーター特有の匂いが気になるので注意。新宿や六本木のクラブではないため、結露したグラスを拭いてくれるサービスはない。個人的に、レストランでも拭いてくれればいいのに、と思わなくも無い。

一皿目は「仔牛の三枚バラ 細かく挽き、フォワグラとカモのコンビネーションをパイで包み濃縮したジュと共に」。フォアグラと名のつくメニューがあったら迷わず注文する性質なので、追加料金でオーダー。その名の通り、仔牛のバラ肉とカモの胸肉、フォアグラをテリーヌ状にし、淵をパイで囲んだお料理。これが非常に美味で、フォアグラが口の中で溶けていくのが何とも言えないほど。仔牛と鴨肉がフォアグラととても合う。そして周辺のパイ生地も、お肉と合う。味に厭きさせない工夫が非常に凝らされている。そのまま食べても美味しいが、バスサミコを少しつけても美味。

二皿目はメインディッシュの活スズキのポワレ。このお料理の正式名称は忘れてしまったが、「季節の野菜と共に」的な名前だったと思う。ポワレにしたスズキに、キノコと野菜が添えられている。普段は肉食だが、コースなどで肉料理か魚料理か、と聞かれたらなぜか魚を選択してしまう。フレンチといえば濃厚なソースで味付け、というイメージがあったが、そういった概念を覆してくれるヘルシーな一皿。味付けは非常にシンプルで、どちらかといえばイタリアンに近いかもしれない。スズキがとても柔らかく、もともとの素材も良いことながら、火入れ技術の高さを感じさせる。ワイン好きなら白ワインを頼むと良いだろう。下戸なのでミネラルウォーターと一緒に頂く。

最後のデザート。「ピスタチオのムース ヌガー風にナッツを散らし、チェリーのマリネとあわせて」これもまた絶品。ピスタチオがこんなに美味しい食材だったとはつゆ知らず。一口食べればピスタチオの風味が広がり、何とも夢心地。チェリーのマリネがやや酸っぱく感じたが、良いコントラストとして効いている。前菜とデザートのインパクトが強くてメインディッシュがメインでなかったのが少し残念。これはこれで、味の濃淡に緩急があって良いかも知れないが。

食後のコーヒー。意外とコーヒーが美味しくない店が多いが、ロブションは最後の最後まで手を抜かず。コーヒー専門店以上に美味しいコーヒーが出てきた。コーヒーで大事なのは風味と後味のサッパリ感に尽きると思う。コーヒー好きを満足させるコーヒー。

食器:★★★★
統一された食器ではなく、お料理ごとに最も相応しく美しいお皿が出される。前菜とメインは白を基調としたお皿だったと思う。特にデザート時の濃紫色のガラス皿が大変美しい。テーブルクロスがラベンダー色なので、調和が取れていた。最初から最後まで統一されたお皿だと見た目に変化がなく、非常に単調となってしまうが、そういった心配は不要そうである。ハイレベルなテーブルコーディネートが堪能できる。

空間:★★★★
薄紫の壁紙、濃紫の絨毯、美しいシャンデリア、の三拍子。カジュアルフレンチなのにラグジュアリーな内装で、快適に過ごすことが出来る。エントランスは小さなホテルのような印象。手荷物やコートなどを預かってくれるため、買い物の後に訪問するのも良さそうである。

接客:★★★
可も不可もなく。ランチタイムは忙しいせいか、目が合っても声を掛けなければテーブルまで来てくれないこともしばしば。ワインのおかわりを2回ほど尋ねられたのが少し残念。少し強引な印象を抱きかねない。とはいえ、料理の説明は丁寧だし、何かを聞けばきちんと答えてくれる。また、ドアの開け閉めもきちんと対応してくれるので格式あるフレンチレストランとしての最低限はクリアしているといえる。

総合評価:★★★★
良い時間を過ごせたし、お料理はとても美味しかったので再度来店したいと思うが、家族連れや誕生日会で来店しているお客さんが多いため、一人で訪問すると少しくつろげない印象もある。値段はそれほど高くないので、誰かの誕生日などで利用したい。