Beauty & Chestnut

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夢のあと 〜長崎 軍艦島(ハシマ)〜

かつて石炭採掘でにぎわった人工の島は、今は緑に覆われていた。

近代日本を支えた島、軍艦島(ハシマ)に上陸してきた。長崎港から、およそ1時間の所に存在する。三菱造船所、女神大橋を通り過ぎ、100万トンドッグを越え、さらに船は進む。今はリゾート地と化した伊王島を通り過ぎる。コバルトブルーの海に光が反射してまぶしい。水平線をさえぎるものは何もなく、久々に世界は広いなぁ、と実感した。少し波があったせいか、上陸に手間取ったが、無事に下船。エントランスを上がる。

トンネルをぬければ・・・

一面に広がる緑化したハシマ。

昔は植物がなく、住民が自主的に鉢植えなどで緑を栽培していたらしい。その置き土産として残った植物が帰化したのか、それとも外来のものなのか、緑が全く無かったというのが信じにくいほど。最盛期には人口が5300人を超え、当時の東京都の人口密度の9倍を上回っていたらしい。島には住宅、学校、医療機関、娯楽施設(一説によると、女郎屋まであったそうだが、真偽は定かではない。)など、あらゆるものが揃っていた。従業員の待遇は良く、島の生活には何不自由なかったそうである。もっとも、炭鉱の仕事は常に危険が伴っていて、そのうえ過酷なもので、いわば毎日が命がけで働いていたのである。

一望。

ずっと先にあるのは小中学校。ハシマの子供たちは、ここで学んだ。その少し左が、体育館だった場所であるが、曲がった鉄骨が残っているぐらいだった。右側にはベルトコンベアがあり、採掘された石炭は、この上を経由して運ばれてゆく。良質の石炭が取れ、八幡製鉄所で加工される。

しばらく進むと、総合事務所のあった所にたどり着く。

赤かったであろうレンガが、風化して白っぽくなっている。今日は風が強かった。遮るものが何も無いので、光がまぶしい。光アレルギーなので、くしゃみが止まらなかった。波の音が響き渡り、感動に満ちた静けさのようなものが島全体に広がっている。空には鷹が数羽。優雅に舞っている。

日本で初のRC造アパート(30号アパート)。ある一室には観葉植物のようなものが残っているのが確認できた。

プール。海水を利用していたらしい。

今回見学できたのは島のほんの一部であるが、それでも当時の様子を想像してみるのに、さほど苦労はいらなかった。

見学後は島を一周し、再び長崎港へ。五島行きのフェリーに乗りそびれ、少し後のジェットフォイルで向かう。現地着後は、真っ先に天文台へ向かう。ほかの参加者が遅れているようで、私が一番乗りだった。観測の準備を手伝う。

少し暗くなってから、月と土星とその衛星を見る。土星の輪まではっきり見え、宇宙の存在を強く意識した。そうだ、図鑑で見た土星は本当に実在するんだ、宇宙はそこに広がっているんだ、というあたりまえの事実に(小学生時代以来の)再会をし、感動した。宇宙はひとつの大きなシンフォニーである。月のクレーターも細かいところまで見え、今日天気が崩れなかった偶然に感謝。

その後はホテルへ向かう。鏡を見て、わずか一日でずいぶん日に焼けてしまったことに気づく。明日は日焼け止めをちゃんとつけよう。