Beauty & Chestnut

栗野美智子オフィシャルウェブサイト(笑)へようこそ。ツイッターもやってます。@Michiko_Kurino

何センチメートルの身の丈

休日の朝は一杯の珈琲を味わうだけのゆとりがある。珈琲が飲むのに適した温度になるまで待っている間に、PCの電源を入れてツイッターにアクセスした。脳科学者として、またエッセイストとして有名な茂木健一郎さんの連投ツイートが画面を支配していた。彼は…

コース料理の価格革命 ブラッスリー ポール・ボキューズ/ミュゼ

六本木店(国立美術館)と大丸東京店をそれぞれランチとディナーで訪問。ミシュランで星を獲得したメゾン ポール・ボキューズのブラッスリー版である。ブラッスリーだが、たまにメゾンのアラカルトがコースに取り入れられていたりするなど、あなどれない。とに…

弘前発カジュアル++フレンチ レストラン山崎

地産地消という言葉が叫ばれるようになってから結構な時間が経過した。食の安全を求める声は日に日に大きくなっており、最近では生産者の名前のみならず顔写真までもが印刷されている袋入りの野菜がスーパーに出回っている。意識が高まっているものの、やは…

大都会の小さな城 ラ・ターブル・ドゥ・ジョエルロブション

恵比寿ガーデンプレイス内にある小さなお城または貴族の別荘のような外観のレストラン。1階はカジュアルなモダンフレンチ、2階はグランメゾンとなっており、目的・用途に応じて使い分けることが可能。厨房は別々にあり、シェフもコンセプトも全く違うが、い…

これぞ、ザ・ホスピタリティ。トゥール・ダルジャンで昼食を。

ミシュラン ランチ巡りの第二回目はトップオブザフレンチ(と私が勝手に認定している) トゥール・ダルジャン。フランスの本店は1582年に誕生し、初の支店となる東京店は1984年にオープン。16世紀といえば、日本では信長や家康が活躍していた頃である。歴史の…

皇居Walker

東京駅丸の内北口を出ると広がる開放的でモダンな景色は、観光客に限らず普段都内で生活している者にとっても、訪れるたびに新鮮で何かしらの発見があるものだ。それは東京という都市が日夜更新されているから、というわけではなく、ここに来たら何か楽しい…

マノン・レスコー (アベ・プレヴォー)

マノンをマルグリットに贈る。 慎み深くあれ。 デュマ・フィス著「椿姫」の一文だ。主人公(聞き手)はある日、亡くなった娼婦マルグリットの遺品の競売に出かけたら、一冊の本「マノン・レスコー」が売られていた。他の遺品が高値で売れていく中、この本は誰…

素数の音楽 (マーカス・デュ・ソートイ)

明日は選挙なので、少し前に届いてどこかに置いたはずの入場券のようなものを探していたら、ずっと前に京都からの帰りの新幹線で読もうと思って恵文社で買った「素数の音楽」が本棚の奥の方から出てきた。私は机の上に物が置けなくなると本棚のスペースに詰…

マイトレイ (ミルチャ・エリアーデ)

久しぶりに小説が読みたくなって、図書館へ足を運んだ。海外文学のコーナーで面白そうな本を適当にピックアップして、パラパラとページをめくってみる。文体が気に入れば、本日のお持ち帰り。そうでなければ、再び書棚へ。こういう作業を1時間ぐらい続け、私…

末詣

先日父と浅草へ出かけた。父とはたまに一緒に出かけるが、浅草へ行ったのは数年ぶりだ。かねてから私が切れ味の良い包丁が欲しいと言っていたので、かっぱ橋道具街に行くついでに浅草も少し観光しようか、という経緯である。我が家の包丁は打製石器のようで…

或る女 (有島 武夫)

私は、本を読むときは隙間時間にチビチビと読むのではなく、ある程度まとまった時間をとってゆっくりと読みたい派である。最近はあまり読書に割くための時間がとれないので、最後に小説を読んでからどれぐらい期間があいたのかさえ定かではないが、(といって…

禅から食を考える。応量器展鉢のワークショップ受講

応量器展鉢と呼ばれる禅の食事作法のワークショップを受講してきた。最初に雲水さん達のパフォーマンスもしくはお手本を拝見し、その簡易版を彼らの指示のもと、実践する。展鉢は朝食、昼食、夕食ごとに違った手順があるらしく、今日実践したのは一番簡単な…

赤坂陰影礼賛

国立新美術館で開催中の「陰影礼賛展」に行って来た。その名の通り、芸術的な観点で「カゲ」を考え、礼賛する内容である。カゲには「物体に光が当たることによって出来るカゲ」、「光の入らない所そのものを指すカゲ」そして、さらに日本には逆富士などに代…

どなべ暮らし

私は土鍋至上主義者である。お米は炊飯器では炊かない。 人類がいつから土鍋を使い始めたかは頓として見當がつかぬが、少なくとも私が使い始めたのは最近の話である。非常にすぐれた耐熱性、桁外れの保温力、イマイチ垢抜けないが使い続けることで愛着の沸い…

Twitter×文通=最強のコミュニケーション

ブログやSNS、とりわけTwitterの登場により、私たちは不特定多数へ向けた発言が容易になった。今まで「近所のちょっとした有名人」だった人が、いつ来るかわからないテレビの取材を待たずして、ネットを駆使し「全国区レベルの有名人」になる事が可能な時代…

食は土にあり (永田 照喜治)

先日、板橋区西台の農園で活動している「農を楽しむ会」というサークルを訪問してきた。その日は大雨だったので、農園には入らず、案内人のNさんとの対話が中心だったのだが、遠目から見ても美しいオクラや、これから大きくなるであろう可愛らしいキャベツの…

粘菌 その驚くべき知性 (中垣 俊之)

今月の上旬に京都大学で数学入門公開講座を受講してきた。連日の猛暑のなか、滞在先の尼崎から京都まで、なるべく直射日光が当たらなく、かつ時間の掛からないルートを選択したつもりだ。会場である数理解析研究室は農学部のすぐ傍にあって、広い京大キャン…

葡萄の収穫体験

先日コンビニに行ったついでに、たまたま東京ウォーカーを立ち読みしたら、収穫体験の特集の記事があった。家庭菜園を始めてから農業や農園に関心があったので、いつか行こうと思っていて、それを話したら、母が行きたいと言い出したので、同行することにし…

日本の伝統 (岡本 太郎)

以前、サントリーミュージアムで開催された「アジアの玉手箱」展で、縄文時代に作られた土偶に出会った。日本史の教科書に出てくる、おなじみのアレである。日本史の授業は小学校、中学、高校で三度に渡り受けているので、土偶は教科書で何度も見ている。そ…

土いじり

室内で育てている愛木の忠雄さん(菩提樹)がようやく新芽を出した。半透明の緑色をした、小さな二枚の葉が、日光を求めてベランダの方に向いている。去年の夏に大きく成長したので、そろそろ一回りか二回りほど大きな鉢に植え替える必要があるのだが、これ以…

記憶の中で歩く神戸

先週末ぐらいに注文していた観音屋のチーズケーキが、昨晩、配達指定時刻より随分おくれて到着した。今朝、冷蔵庫から1つ取り出し、オーブンに入れた。表面のチーズが少し溶けるぐらい、だいたい2〜3分温めるように、と説明書に書かれており、オーブンの仕様…

絵画と建築

湯河原に行ったときにポーラ美術館に立ち寄った。少し山を登った所に立地していて、コンクリートという無機質な素材で出来ているにも関わらず、ガラスを上手く使って透明感を出している事と、やや丸みを帯びた設計、そして上手く周りの風景を借景しているこ…

梅雨のあいま、もしくは明け

今日は数日振りに青空を見た気がする。帰宅時にバスの中から外の景色を見ていたら、ふと紫陽花の花が目に留まった。なんてことはないが、静かだけど鮮明な感動が心に満ち、最寄りのバス停で降りて花屋に寄った。何か切花でも買って帰って、玄関に飾ろうと思…

思い立たずとも北東北

湯河原美術館の記事を先に書いたせいで話は少し前後するが、今月の上旬、従姉妹の結婚式のため、秋田県に行って来た。式を翌日に控えた彼女はどのような気持ちなのだろうか、などと飛行機に乗りながら考えていたら、ふと自分が結婚するとしたらどうだろうか…

湯河原で見たおぼろ月

先日、湯河原へ行く機会を得た。宿の近くに町立の美術館があり、そこで企画展として平松礼二の絵画が展示されていた。おそらく国立新美術館の加山又造展以降だと思うのだが、いつの間にか私は西洋画から日本画へと好みがシフトしていた。あまり美術に造詣は…

ルバイヤート (オマル・ハイヤーム)

いつの世に長き眠りの夢さめて驚くことのあらんとすらん (西行 山家集) 生ける者遂にも死ぬるものにあればこの世にある間は楽しくをあらな (大伴旅人 万葉集) 寝ても見ゆ寝でも見えけりおほかたは空蝉の世ぞ夢にはありける (紀友則 古今和歌集) 私は長らく「…

上田敏全訳詩集

近頃、李賀という唐の詩人の詩集をよく読む。前から興味があった人物で、李白が天才、白楽天が人才であるのに対し、彼は鬼才と言われている。その詩は幻想的で、神や亡霊が出てくる能の世界を彷彿させるものがある。そうか、中国(唐)にもそういった面影やう…

使える経済書100冊 (池田 信夫)

ここ数週間ほど、私は全くニュースを見ていないし、社会系ブログも金融系ブログも読んでいない。もちろん新聞も取っていない。特に深い意味はなく、テキストとして記述された社会の出来事は一種の連載小説のようなもので、後でまとめて読めば十分に繕えるの…

選択の連続 映画評「IL VENTO E LE ROSE」

私は毎日早朝に起床して、コーヒーを飲みながら数学の問題を解いたり科学論文を読んだりして午前を過ごし、午後からは読書をしたり散歩に出かけたりして生活している。先日、いつもの散歩コースから少し足を伸ばして駅前のTSUTAYAに出かけ、何本か映画を借り…

恋文の技術 (森見 登美彦)

五月四日拝啓。 守田君、お手紙ありがとうございます。慣れない能登での研究生活、なかなか大変そうですね。さぞや京都が恋しいことでしょう。私も以前、大阪から宮崎に引越しをした時、宮崎の閑散とした様子に随分と面食らいました。おそらく大阪から宮崎へ…